崆嶺峡(こうれいきょう)
崆岭峡 / KongLingXia / コンリンシャー
三峡ダム工事現場から西に10kmほどの所、両岸に険しく切り立つ崆岭峡の間に、流れの速さで有名な崆岭灘が流れている。“大珠”、“頭珠”、“三珠”などの暗礁が林立し、逆巻く激流は「青灘、泄灘は川瀬でなく、崆岭灘こそ地獄の入り口である」と形容されている。洪水の季節、崆岭灘の勢いは怒涛のごとくで、ひとたび操縦を誤ると船も人もひとたまりもない。“大珠”の岩石に刻まれた“対我来”の三文字、つまり“私に向かって来い”の意味である。そのとおりに岩に向かって進むと、船は勢いに乗り却って岩石を避けることができるが、逆に岩を避けようとすると、ぶつかって沈没してしまう。これは三峡の船乗りたちの経験による秘伝である。1900年にドイツの汽船“端生号”がこの川瀬を航行した際、この妙技を知らず、水先案内人の忠告も聞かずに“対我来”めがけて進まなかったため、暗礁に衝突して沈没してしまった。解放以後、川瀬の航路はたびたび整備され、明礬石や暗礁は爆破された。さらに葛州ダムが完成し水位が上昇したため、危険な早瀬は今では存在しない。

