慈氏塔(じしとう)
慈氏塔 / CiShiTa / ツーシーター
慈氏塔は湖南省岳陽市にある洞庭湖の西南に、雄大かつ美しく聳え立っている古い塔だ。慈氏塔の建造には人々を感動させた話が広く伝わってきた。古代の言い伝えによれば、洞庭湖には水の妖怪がいて、常に人々に危害を加え、時には天に届くほどの巨大な波を引き起こし、漁船をのみこみ、田畑や家屋を水没させ、民衆の苦悩は言い難いほどだった。そこで、皆は資金を集め、妖怪を鎮めるために塔を建てる準備をした。塔を建てる場所の付近に一世帯の住民が住んでいたが、家の人は皆、水の妖怪が引き起こした波にのまれてしまい、慈氏という未亡人だけが残っていた。彼女はこの塔の建設の話を聞くと非常に喜び、長年蓄えてきたお金を全て寄付し、また昼夜を問わず、塔を建てる人々のためにお茶を用意し奔走したという。不幸なことに、塔がまだ完成しないうちに、彼女はこの世を去った。人々は彼女のために塔の名前を慈氏塔と名づけ、また塔の近くに慈氏寺を建てた。
塔は煉瓦造りで楼閣式、八角形の形をしている7階建てで、39メートルの高さがある。塔の下の部分は麻石が敷き詰められている5階建てで、塔全体に青い煉瓦が使われている。2階から毎階の四方には小さな仏壇、仏像などを納置する厨子が28個ある。鉄製の塔寺は、塔の軒に六本の鉄の鎖を通している。毎階の軒の角には小さな鐘がつけてあり、かすかな風が吹くたびに、その鐘が鳴る。惜しいことに塔の中は空洞ではなく詰まっているため上には登れず、洞庭の景色を眺めることはできない。しかし、湖南省の有名な古塔として生き生きとした物語を残し、今もなお歴代の文化人の賞賛を生み、清の時代には、「湖心臥塔形、蛟螭走千百」という詩が詠まれてる。

